記憶の花火〜俺が暴いてやるよ、欲望にまみれた秘密を〜
事前に高瀬からも、花火屋に依頼が来ていたのを知っていた、自分には、高瀬が、西川を殺すことは目に見えていた。

しかし、西川が高瀬に、波多野の秘密をどこまで話したか、又は、話していないのか分からなかった為、高瀬を処分するかどうか、確認の為に、マンションに出向いたが、すでに高瀬は、西川と共に息はしていなかった。

「もう、千夏には、殺しはさせない……」

千夏は、ほぼ、無関係で何も知らない来未も殺そうとした位だ。

真相に近づけば近づくほどに、千夏がどんどん手に負えなくなっていく。

この世から、人間を消す事に何の疑問も違和感も持たずに、変わっていく。

変わっていってしまう。

ふいに、花灯は、目の端にキラッと光ったものを感じて、視線をガラス戸に向ける。

花灯は、来未を抱き抱えたまま、あえて、ガラス戸から外を眺めた。おそらく、誰かが自分を狙って、つけてきたんだろう。

「……潮時だな……」

千夏も波多野の持っていた、蛍のスマホのデータから、志田愛瑠の事を調べている筈だ。

そして、志田愛瑠自身も、俺達から追われてる事に気づいているだろう。

花灯は、嫌味なほどに美しく、凛とした光を放つ満月を眺めながら、来未を抱き抱えている両手にぐっと力を込めた。
< 111 / 152 >

この作品をシェア

pagetop