記憶の花火〜俺が暴いてやるよ、欲望にまみれた秘密を〜
ーーーーその次の日の、体育の更衣室でだった。

「あれ?その下着、結衣と同じじゃない?」

夏美の声で、結衣は振り返った。


ーーーーえ?

「そうなの、昨日は、結衣が、あんまり似合ってたから、言えなかったんだけどね」

玲子が、肩をすくめて笑う。

玲子は、結衣よりも胸も大きくてスタイルがいいのだ。何だか嫌な気分になってくる。


ーーーー私の方が似合ってるでしょ?

真似をした玲子が、自分の事をそんな風に思ってる気がして。

「あ!嘘ー!すっごい偶然!結衣とキスマークの位置も同じじゃん」

思わず、玲子の胸元を結衣は凝視した。

「もうつけないでって言ったんだけどね」

なんて事ない様子の玲子に、違和感しかない。

ーーーーこの頃からだ。玲子が自分のことを真似るようになったのは。

「玲子も彼氏につけたりするの?」

興味津津の夏美に、玲子は笑った。

「首元とか。なんかその人の心ごと、吸い取る吸血鬼になった気分で」

色っぽく笑う玲子に、夏美が、さすが玲子、と感嘆の声をあげた。

結衣は、玲子の笑顔がいつしか偽りにしか見えなくなっていた。玲子の笑顔を見るたびに
心が濁っていく。

玲子の仮面を剥ぎ取りたい。玲子の見えない、言えない秘密を暴きたい、そんな黒い気持ちが芽生えてくる。
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