記憶の花火〜俺が暴いてやるよ、欲望にまみれた秘密を〜
自分で、言うのも何だが、整った顔に生んでもらった両親に感謝している。

背も180超え、高校では、水泳部だったこともあり、腹筋は割れていて、それなりにいい身体だと自負もある。

道を歩けば、何度か芸能プロダクションから声をかけられた事も一度や二度じゃない。

だから、女に不自由したことなんか一度もない。わざわざこちらから声をかけなくても、綺麗な女の方から、一夜のお誘いなんてザラにあった。

「奏多ー今日はダメ?」

大学のキャンパスを歩いていると、後ろから、奏多の腕に手を絡ませながら、甘えた声で女がこちらを見上げている。

何て名前だっけ?と頭によぎる。

「ごめんな、今度埋め合わせするから」 
「今度っていつ?」

明るい茶髪の巻き髪に、胸の強調されたカットソーから、黒いブラ紐が見えている。奏多は、瞬時に思い出す。

春菜(はるな)、またラインするからさ、その日は、寝かせないから……」 

耳元で囁いてやれば、春菜が、頬を染めて、じゃあ連絡待ってると、奏多の腕から手を離した。

「あっぶね」

女達は、自分が一番、奏多に気に入られるために必死なのだ。せめて名前位は、覚えてかなければ。

好きな時に、抱ける女の数は、増やすことは、あっても減らしたくはない。

奏多は、女達との情事の時に、必ず身に付けてる下着を褒めるのだ。

そして、耳元で次もこれつけてきてよ、と甘い声で囁いてから、彼女達と重なる。


すぐさま、ラインがメッセージをつげる。

ラインを確認する、送信主は『春菜 黒のレース下着』の文字が、液晶に浮かぶ。

春菜に、適当に返事をしてスマホをポケットに仕舞おうとして、スマホの待ち受けに笑顔で映る自分と、その隣の彼女の顔を眺めた。

「奏多また、女、変えたのかよ?」

同じ経済的学部の健斗が、俺の肩に手を乗せながら、スマホに映る俺と、橋野由奈(はしのゆな)を見ながらニヤついている。
< 31 / 152 >

この作品をシェア

pagetop