記憶の花火〜俺が暴いてやるよ、欲望にまみれた秘密を〜

「蓮野さん、死体見た後、よく食欲湧きますね」

後輩の、相川流唯が、平日の真昼間から、一人焼肉専門店でハラミを焼く千夏を眺めながら、隣の席に腰掛けた。

「何？僕にGPSでもつけてんの？」

白いご飯に、焼けたばかりのハラミを一枚乗せると、大きな口でご飯とハラミを放り込む。

「つけてませんよ、鑑識の持田さんが教えてくれたんです。今日上がった死体が、腹を鋭利なナイフで一突きされた後、内臓引き摺り出されて、血まみれだったから、蓮野さんは、焼き肉だろうって」

「あぁ、持田か」

「同期らしいですね」

相川が、店員に、わかめスープと、ビビンバを注文する。

「何？肉食べない訳？」

ネクタイを胸ポケットに入れて、ミノを咀嚼しながら、千夏は呆れ顔で相川を見下ろした。