年下セフレはクールな部下
外食しようと、マンションの外に出たら、電柱の陰から知っている顔が出て来た。

「鈴音!」

「政人さん……」

夫は私の顔を見ると、近づいて来た。

「やっと会えた。ずっと探していたんだぞ。」

失敗した。紙に探さないでって、書けばよかった。

夫は大和を見ると、一礼した。

それが意外だった。

てっきり、怒るかと思ってたから。


「なあ、鈴音。出て行った事は許すから、戻って来てくれないか。」

「えっ……」

「おまえを探している間、ずっと鈴音の事ばかり考えていた。すまない。」

そう言って頭を下げる夫の姿が、情けなく見えた。

「なあ、戻って来てくれよ。鈴音。」

涙を浮かべている夫に、呆然とする私だった。
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