色恋ノ唄
「そんなに食べて、もたれない?」

「大丈夫、甘いもの好きだから。いつもありがとな」

「いや、余り物だから、むしろ食べてくれる人がいてありがたいよ」



小学生の時、初めて作ったバレンタインデーのチョコを食べた晴くんは、「莉愛、天才だな!」と笑った。

市販のクッキーに溶かしたチョコレートをコーティングした、今振り返ればもはや手作りとは言い難いチョコレートだけど、甘いものが好きな晴くんはとても喜んで全部食べてくれた。



それが嬉しくて、お菓子作りが好きになって。

気がついたら、ケーキ屋でパティシエの見習いとして働いている。
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