隣のブルーバード
第2章 沙希15歳、夏
スグ先輩こと田所優(すぐる)先輩と知り合ったのは高校の水泳部。
彼はバタフライの選手で、わたしはマネージャー。
選手でもないし、わたしは女子部中心で活動していたから、同じ部活とはいえ、県大会常連のスター選手、スグ先輩と会話を交わすことなんて、めったになかった。
だからあの日は本当に、ごくごく、まれな機会だったのだ。
7月の日曜日。
記録会で県立プールを訪れた帰り道でのこと。
駅近くの神社で夏祭りをやっていた。
提灯や夜店の明かりがともり、薄暗くなった周囲から神社だけ浮き上がって見える。
「おっ、祭やってる。ちょっと寄って行こうぜ。行くやつ、いる?」
スグ先輩がみんなに声をかけた。
塾があるからと帰って行く人も多かったけれど、
「行く行く」
わたしの隣を歩いてた、佐川先輩がそう答えた。
彼はバタフライの選手で、わたしはマネージャー。
選手でもないし、わたしは女子部中心で活動していたから、同じ部活とはいえ、県大会常連のスター選手、スグ先輩と会話を交わすことなんて、めったになかった。
だからあの日は本当に、ごくごく、まれな機会だったのだ。
7月の日曜日。
記録会で県立プールを訪れた帰り道でのこと。
駅近くの神社で夏祭りをやっていた。
提灯や夜店の明かりがともり、薄暗くなった周囲から神社だけ浮き上がって見える。
「おっ、祭やってる。ちょっと寄って行こうぜ。行くやつ、いる?」
スグ先輩がみんなに声をかけた。
塾があるからと帰って行く人も多かったけれど、
「行く行く」
わたしの隣を歩いてた、佐川先輩がそう答えた。