隣のブルーバード
 彼女もマネージャー。

 美人で明るい性格の彼女は、水泳部の華で、男子部員の人気の的だった。
 
「沙希ちゃんも行こうよ。いっつもわたしらが彼らの世話焼いてるんだから、たこ焼きぐらい奢ってもらっても、ばちは当たらないでしょ」

「佐川には敵わねえな。よっしゃ、なんでも奢ってやるよ。たこ焼きでもリンゴ飴でも」

「やった。じゃあ、焼きそばとラムネと、あと……ベビーカステラ!」

「ったく、おまえさあ、遠慮って言葉知らない?」

  行くとも行かないとも言わないまま、佐川先輩に腕を組まれて、わたしも神社へ向かう仲間のひとりになっていた。

 結局、残ったのは7人。
 部活帰りの寄り道なんて、初めての体験だったので、自然と気持ちがうきうきした。
 お祭りに行くのも、中1以来だったし。

 賑やかな参道を歩きながら、夜店をひやかしているとき、向こうからきた年配の女性が、スグ先輩に声をかけた。
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