隣のブルーバード
「あっ、こんばんは」
「久しぶりね。ずいぶんいい男になって、まあ」
「山田さんも、相変わらずお若いっすね」

その人は、ワッハッハと豪快に笑って、スグ先輩の肩をパシパシ叩いた。

「またまた口がうまいんだから。また、お花買いに行きますって、お母さんに言っといてね」
「はーい」

 お花ってなんのことだろう。
 
 とにかく花が大好きで、小さいときの愛読書が花の図鑑だったわたしは「お花って?」と、思わず声に出していた。

その声が前を歩いていたスグ先輩に届いていた。

 先輩は振り返ると
「ああ。おれんち、花屋なんだよ。知ってる? N駅前にある……」

「えっ、そうなんですか?? わたし、何度も行ったことあります、あのお店」

「たしか、沙希ちゃん、お花屋さんになりたいって言ってたよね」と佐川先輩が話に割り込んできた。
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