隣のブルーバード
 ふたりの会話が右から左に抜けていく。

 そのときのわたしは、世界が急変していくような感覚におそわれていた。

 スグ先輩に恋をした。
 そう感じた瞬間だった。
 
 それまでも、彼に憧れは抱いていたけど、とてつもなく遠い存在だった。

 その人が、わたしのことをそんなふうに見ていてくれたなんて。
 
 でも、スグ先輩は人の良いところを見つけて、それを伝えることを厭わない人だって知っている。

 年や性別の隔てなく、誰に対しても同じ。
 だから、わたしだけに目をかけてくれた、とうぬぼれたわけではない。

 それでも、先輩のその言葉は、心をすっかり持っていかれてしまうほど、強烈なインパクトをわたしに与えた。
< 15 / 68 >

この作品をシェア

pagetop