隣のブルーバード
「裕生、いるー?」
 家に帰るとすぐ、2階の自分の部屋の窓を開けて、裕生を呼んだ。

 さすが、隣同士。

 わたしたちの部屋は向かいあっていて、声をかければ聞こえる距離。

「なんだよ」
 窓を開けて、迷惑そうに答える裕生。
 そんな裕生にかまわず、わたしは大声で叫んだ。

「好きな人ができたの!」

 裕生は一言「あ、そ」

「ねえ、こっちに来てよ。話、聞いてほしいんだけど」
「今、宿題中」

 そう言って、ピシャリと窓を閉められた。

 最近の裕生は取りつくしまがない。
 もしかして反抗期ってやつかな。
 男子はややこしいな。

 
 好きになったといっても、スグ先輩は部活一のモテ男だったので、この想いが通じるとは、最初から思っていなかった。
 
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