隣のブルーバード
 先輩と別れてから、しばらくぼーっとしていた。

 恋心、完全復活。

 もちろん、この6年の間、ちょっといいなと思う人はいたし、デートをしたこともあったけど、いつもうまくいかなかった。
 きっと、無意識にスグ先輩と比べていて、それが相手に伝わってしまったんだろう。
 
 やっぱり、わたしは先輩が好きだ。

 うちに帰ってからも上の空で、食事中ぼーっとしてお茶をこぼしたりしてしまった。
 お母さんに、顔、赤いけど熱あるんじゃないと言われもした。

 早めに寝ると言って食後すぐ、自室にこもった。

 お財布に入れておいた先輩の名刺を出して、飽かずに眺める。

 知らなかった。
 先輩がこんな綺麗な字を書くなんて。

 ただのアルファベットと数字の羅列なのに、わたしにとってはアイドルの直筆サインよりも価値がある。

 あー、誰かに、この気持ちを話したい。
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