隣のブルーバード
「優もいい子を紹介してくれたって思ってるのよー。沙希ちゃん、本当、よくやってくれて、大助かりよ」

「ありがとうございます。こうやってきれいなお花に囲まれてると、それだけで元気が出てきて、自然に頑張ろうって気持ちになるので」

「もしかして天職かもね。今度、時間が空いたら、花束のアレンジ、教えてあげなきゃね」
「わー、楽しみにしてます!」

別に下心があったわけではないけれど(いや、少しはあったかな)たまにスグ先輩が様子を見に、お店に顔を出してくれるのも、張り切る理由のひとつだったかもしれない。

 困ったのは、お店の常連さんが、わたしをスグ先輩のお嫁さんだと、勘違いすることだった。

 ――スグ先輩と結婚して、このお店を継ぐ

 まさか。ありえない。
 そうは言っても、ほんの数パーセントも期待していなかったかと言えば、嘘になる。
 
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