隣のブルーバード
 ひとり残されたわたしは、なんとなく気持ちがもやもやして落ち着かなかった。

 冷蔵庫から缶チューハイを取り出し、二階の自室に上がった。
 カーテンを閉めようと窓に近づくと、裕生の部屋に明かりが灯っている。

 ああ、まだ、こっちにいたんだ。

 なんだか無性に彼と話がしたくなった。

 わたしは窓を開け、裕生の名を呼んだ。
 一瞬で冷たい空気が流れ込んでくる。
 窓を開けた裕生も寒そうに顔をしかめた。

「話がしたいんだけど、いい?」
「そっちに行こうか」
「うん」

 5分後。
「ごめん。忙しかった?」
「いや」
それだけ答えて、彼は家に上がってきた。

***

 裕生にはソファーに座ってもらい、わたしは彼に渡す缶チューハイを冷蔵庫に取りに行った。

「見合いしないかって言われたんだ、今日」
「見合い?」
< 33 / 68 >

この作品をシェア

pagetop