隣のブルーバード
「結局、そんな軽いもんだったんだな。あいつへの気持ちは。すぐ平気な顔で見合いできるぐらいの」
 
 裕生の言葉が、心の奥底に閉じ込めていた、失恋の悔しさや恨めしさを引きずり出そうとする。

 そうした負の感情に捕らわれないようにと、必死で押し殺してきたのに。

 なんで裕生にそんなことを言われなきゃならないんだろう。

 わたしの口調も徐々にきつくなっていった。

「平気なわけないじゃない! それぐらいわかってよ。でも、どうしようもないでしょ。スグ先輩は9年間、一度だってわたしのほうを向いてくれたことなかったんだから。何度も諦めようとしたけど……」

 あっ、まずい。涙が出てきた。
 ずっと我慢していたのに。
 もう、裕生のバカ。

「今だって……もうとっくに諦めたつもりだったけど、本当はつらいよ。つらくて、つらくて……」

 その後は言葉にならなかった。
 涙が止まらない。
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