隣のブルーバード
「ずっと、ずっと、おれだってずっと、おまえを好きだっていう気持ちを押し殺してきた」

 えっ……

「他の子とも付きあったけど、ダメだった」
裕生はわたしの背中に回した両手に力を込める。

「沙希じゃなきゃ」
 震えが直に伝わる。

「ゆう……せい……」

 本当に知らなかった。
 そんなふうに思っていてくれたなんて、ちっとも気づかなかった。
 でも。

「だって、裕生、そんなこと、今まで一度も……」

「言えるかよ。沙希は俺のこと、一度も男として見たことなかっただろ」

「でも……わたしも裕生のこと、す……」
 わたしの言葉を遮るように、裕生はわたしの頭の後ろに手を回し、自分の胸に押し当てた。

 ものすごい早さで鼓動が響く。

「友だちとして、だろ。そう言われるのは、わかってた。だから、言わなかった。沙希が好きな男と一緒になってくれたら、心から祝福するつもりだった」
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