隣のブルーバード
 望みはゼロか。

 それで、沙希を忘れる努力をすることにした。
 合コンで声をかけてくれた子とか、サークルの後輩なんかと付き合ったこともあった。

 結局、うまく行くことはなかったけど。

 それにしても。
 間抜けすぎだぞ、沙希。
 同じ男にまた失恋って。

 間抜けすぎて、狂おしいほど愛おしい。
 
 好きだ。
 もう、この気持ちを抑えたりはしない。

 でも、沙希が受け入れてくれなければ始まらない。

 あの、彼女に無体なことをしかけた夜。
 沙希はすぐに俺と話をしようと声をかけてくれたのに。
 答えを聞くのが怖くて、顔が出せず、結局逃げ出してしまった。

 こんな情けない男。
 好きになってくれ、なんて……言えるわけないか。

 そう思っていたら、沙希から電話がかかってきた。
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