隣のブルーバード
 あっ、また、動悸が……

 背の高い裕生に、すっぽりと(くる)まれるのは、言いようもなく心地良くて、気が遠のいていきそうになる。

「沙希……」
 そう言って、わたしの髪にそっとキスを落とす。

「やっと、おれのところに来てくれたんだな。やっと……」 

「うん」

「こっち向いて」
 裕生はわたしを前に向かせると、頬に唇を寄せた。
 
 そして、いったん唇を離すと、わたしの目をのぞき込んできた。

「キス、してもいいか?」

 ゆっくり頷くと、彼は顔を傾け、ゆっくり唇を寄せてきた。

 はじめはついばむように短いキスを繰り返していたけれど、そのうち、わたしの唇を舌でまさぐりはじめ、ギュと結んだ唇をこじ開けてきた。

 そして、彼の舌が口に侵入してきた。

「あっ、ん」

 わたしは思わず声をあげて、裕生を突き放してしまった。
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