大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 ほんとうに棚ぼたみたいに、こんな理想通りの……

 いや、人が見てどう思うかは知らないが。

 自分好みの女が降ってきたりするとかあることなのか? とおのれの幸運を疑った。

 疑いと、初めて女性に好意を持ったという戸惑いで、見合いの席では、最初から最後まで険しい顔つきと、そっけない口調になってしまった。

 妻となるはずの咲子は、明らかにビクビクしていた。

 まずい、これは断られるかもしれないと思ったが。

 咲子にとっても、断ることは許されない見合いだったようで、結婚話はどんどん進んでいった。



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