大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 

 気のせいかもしれませんが、行正さんの心の声は攻撃的なとき以外聞こえてこないような……。

 行正を見送りながら、咲子はそう思っていた。

 いやまあ、行正さんが私に対して、攻撃的なことしか考えていない可能性もあるのですが。

 でも、あんなに嫌っているのなら、一緒にいてくださらなくてもいいのにと、ときには思ってしまいます。

 そんなことを考えながら、咲子は行正に叩きつけられた婦人向け雑誌を手に取ってみた。

 身の上相談か。

 こんな投稿欄なんてあったのですね。

 美味しいものとか、お掃除のコツみたいなところしか見ていませんでした、と咲子は思う。

「いや、お前、掃除もしないのに、掃除のコツとか見て意味があるのか」
と突っ込まれそうだったが。

 行正が熟読していたらしい身の上相談のコーナーを探して、いろいろと見てみる。
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