大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 ルイスはにこにこと感じが良く、行正にもフレンドリーに話しかけてくる。

 なんて話しやすい、感じのいい男なんだ。

 見た目も麗しいし。

 俺が女だったら、きっと惚れていただろう。

 咲子はこいつに憧れていたりしないだろうか。

 咲子みたいな女に言い寄られたら、ルイスだって好きになってしまうに違いないのにっ。

 ……ということは、ルイスと咲子は付き合っていたのだろうか?

 まさか、二人の仲を引き裂くために咲子の両親が上官に頼んで、俺との見合いをっ?

 またこの息子、なに考えてるのかしら、という目で母親がこちらを見ていたが。

 行正の頭の中は、仲睦まじく手をつないで学校の中庭を歩くルイスと咲子でいっぱいだった。

 手をつないだり、見つめ合ったりする以上のことを妄想の中の二人がしないのは、それ以上のことを考えるのがおぞましいからだ。
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