大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 今回もこの先も、お前に女しか生まれなくとも。

 娘に我が家にふさわしい三国一の婿をとればよい。

 ……でも、いくらいい夫を迎えても。

 文子さんみたいに海外にいってしまったら、ちょっと寂しいな。

 まあ、彼女は結婚の報告だけしたら、戻ってくるようだが。

 そんな風に、まだできているかもわからない娘の将来を心配しながら、行正は、咲子の妊娠報告に備え。

 自分なりに表情を出して、喜びを表現しようと構えていた。

 いや、それで人が微笑んでいる、と判断するかは謎なのだが。

 まあ、ピクリと眉と口元が痙攣した、ととられるだけかもしれないが――。

 そうやって喜ぶ準備をしている行正の前でふたたび、咲子が口を開いた。
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