大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 

 咲子が行正に襲われた次の日は、朝からコロッケだった。

 わあ、コロッケだ、と咲子は喜ぶ。

 シャンデリアのあるダイニングルームでの朝食だったが。

 メニューは和食だった。

 ほかほかのごはんに湯気の立ちのぼるお味噌汁に、お漬物にコロッケに目玉焼き。

 なんか落ち着くな。

 いや、この旦那様には落ち着かないんだが……。

 そんなことを思いながら、行正と向かい合わせの席に咲子は座った。

 コロッケにソースをかけて食べると、ごはんによく合っておいしい。

 外はサクサク。
 中はホクホク。

 濃いソースのかかったところはしっとりしていて。

 コロッケ、最高ーっ!

 思わず、にんまり笑ったとき、行正と目が合った。

 はっ、昨日、襲われたというのに、コロッケごときで喜んでしまうとは……。
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