大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~



 数日後、早速呼んだ美世子たちが屋敷を訪れた。

 何故でしょうね?

 一番仲がよくなかったはずの美世子さんの顔を見ると、一番、女学校時代が蘇ってくる感じがするのは。

 一番、印象が強かったからでしょうかね?
と咲子は苦笑いする。

 お庭でのガーデンパーティにしたのだが、美世子は庭の花や背もたれの部分が繊細な葡萄の蔓柄になっている青銅色のガーデンチェアにあれこれ言いながら、はしゃいでいた。

 ちょっと騒がしすぎて、みんな引き気味になっているが。

 まあ、みんな楽しそうでよかった、と思いながら、行正の母が取り寄せてくれた英国の紅茶を飲む。

「素敵ですわ」
「さすが三条家のお屋敷ですわね」
と庭を眺めて友人たちが言ったとき、美世子が、ずい、と身を乗り出し、訊いてきた。
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