大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
「車に乗るとき、手を貸してくださるだけじゃなくて。
たまに、ひょいとお姫様抱っこでベッドまで運んでくださったりしますよっ」
いや、無表情にやるので、ちょっと怖いんだが……と内心思っていたが。
友人たちは、案の定、
「素敵。
異国の王子様みたいですわね」
とうっとりと言いはじめる。
だが、そこで、共闘していたはずの美世子がキレた。
「ちょっと、なに惚気てんのよーっ」
ええーっ!?
「どうせ、うちなんて、忙しくて、いつも旦那様いないしっ。
昔気質な人なんで、お姫様抱っこどころか。
車乗るとき、手を貸してもくれないわよーっ」
私、やっぱり、行正さまと結婚するーっ、と美世子はわめき出す。
「いやいやいやっ。
行正さんこそ、ちゃんと口での会話が成り立たない蝋人形ですよっ」
行正が聞いていたら、
「……お前、俺を上げたり落としたり忙しいな」
と言ってきそうだったが。
たまに、ひょいとお姫様抱っこでベッドまで運んでくださったりしますよっ」
いや、無表情にやるので、ちょっと怖いんだが……と内心思っていたが。
友人たちは、案の定、
「素敵。
異国の王子様みたいですわね」
とうっとりと言いはじめる。
だが、そこで、共闘していたはずの美世子がキレた。
「ちょっと、なに惚気てんのよーっ」
ええーっ!?
「どうせ、うちなんて、忙しくて、いつも旦那様いないしっ。
昔気質な人なんで、お姫様抱っこどころか。
車乗るとき、手を貸してもくれないわよーっ」
私、やっぱり、行正さまと結婚するーっ、と美世子はわめき出す。
「いやいやいやっ。
行正さんこそ、ちゃんと口での会話が成り立たない蝋人形ですよっ」
行正が聞いていたら、
「……お前、俺を上げたり落としたり忙しいな」
と言ってきそうだったが。