妖怪ホテルと加齢臭問題・その後の小話・オトナの現実と何とかの糸
久遠は、わんこのように、
なついてくれるし、愛情表現も
ストレートだ。
しかし、その家族に、その環境に、自分は受け入れられるのだろうか。

彼はまだ若い。
セフレもいる。
恋愛経験も豊富だろう。
好きです。愛しています。
という言葉で、すべてが解決するなんて、夢見るお年頃でもない
はずだ。

まだ遊びたい年齢だろうし・・・
金もあるのだろう。
外資系幹部エリートという肩書と、財力。
若い女の子が、こんな優良物件を、放置するはずがない。

天音は大きく息を吐いた。

向こうから、犬の散歩なのか、
レトリバーを連れて、
中学生くらいの女の子が歩いて
くる。

大型わんこ・・・
茶色でモフモフで、かわいい。
尻尾をブンブン振って、地面を
ひっかいている。

何か、気になる物を、見つけたのか。
女の子が必死にリードを引っ張るが、犬は、探索をやめようとしない。

しばらくすると、
犬は飽きたのか、プイと顔を上げると、困っている飼い主を、見上げた。
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