妖怪ホテルと加齢臭問題・その後の小話・オトナの現実と何とかの糸
ピーターパンは、永遠の子ども
だが、ウェンディは大人になっていった。
恋愛をして、結婚をして、
こどもができて、離婚するかも
しれない。

「来週来るね。女将さん」
母親に声をかけると、
「お気をつけて、お帰りください」
と、返事をしてくれた。
天音は、苦笑した。

私は、常連客なのだな・・・
そう思いながら、玄関から出た。
その時だった。

「天音ちゃん、迎えにきたよ」
久遠が手を振って、
施設の駐車場から、歩いて来た。

今回は、ボロボロの浮浪者風ではなく、ブルーのワイシャツに
紺ブレザー、白のボトムという、
爽やか路線のセレブリゾート服装だ。

そう、あの大型わんこのように、
尻尾フリフリ、ではないが・・・
満面の笑みをたたえて
ハグする態勢で、心持ち両手を広げた。

「さっき、退院して、
そのままここに来たんだ。」
久遠のキラキラ笑顔とは対照的に、天音は、戸惑いを隠せない。

胸が痛むような・・・
違和感、うずく感じがする。

決着をつける時は、今しかないのだ。
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