妖怪ホテルと加齢臭問題・その後の小話・オトナの現実と何とかの糸
「現実問題として、
旅館の経営には、初期費用が、
相当かかります」

「うん、だから、近藤に家屋調査と、ガーデナーを入れるよう頼んだけど?」

だからって、・・・
天音は唇をかんだ。

「その費用は、誰が出すかという・・事が問題で」

すぐに、久遠が遮った。
「別に心配しないで、俺の方で
やるから」

天音は、ぐっと拳を握った。
「あなたがお金を出すのなら、
私は、あなたに、
雇われる立場になりますよね」
そう、雇われ女将になる。

「そんな、固く考えなくても
いいんじゃない?
君の好きなようにして、俺は、
別にかまわないし」
久遠は、ニコッと笑った。

こいつに尻尾があれば、
パタパタ、ふっているだろう。

天音の考える難問は、もう一つ
あった。
「前に、一緒の部屋じゃなくてはダメだって、条件をだしましたよね。高原久遠さん」

再度、フルネームで呼びかける。
< 9 / 21 >

この作品をシェア

pagetop