青い星を君に捧げる【零】


御三家会議の数ヶ月前に行われる大黒天内での集会。といっても形だけで大体は飲み会になる。


私もこの会には出席義務がある。でも毎年途中で逃げ出して百合の宮に帰っていた。


父親の姿を見る度に苦しくなるから。

今年も盛り上がる重役たちに呆れながら席を外す。


部屋について重い着物を脱ぐ前に一旦縁側に座ってのんびりしたいと思い、簡単なお茶を点てる道具をお盆に乗せて縁側に座った。


小さくだけど賑やかな声が聞こえる。同じ敷地内なのにここはとても居心地がいい。本邸は私にとって早く去りたいところだった。


______かしゃかしゃ

茶碗に入れた抹茶にお湯を注いで点てる。自分が飲むためだけだったから作法はあらかた無視。


「あれ……ここどこだっけ?」


その時玄関の方から誰かの声がした。幸い玄関から縁側は見えない。私がここにいることがバレると面倒事が起こる予感がするので家に入ろうと思い立ち上がった。


____カシャン


お盆に立てておいた茶筅が硬い床に落ちる。その音が聞こえてしまったのか足音はどんどんと近づいてくる。
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