青い星を君に捧げる【零】
その後、私たちの間に言葉が交わされることはなかった。会話よりもそれぞれ思考に深けていたんだと思う。

「そろそろアイツの出番だな……」


食べ物を先に食べきった敦さんがパンフレットを見つめながら言った。アイツ、というのは恐らく佑真のこと。

彼の持っているパンフレットをタピオカを飲みながら覗き込む。初タピオカはなかなか美味しかった。


「ミスコン、見てあげないと佑真きっと拗ねちゃうからね」

あの人の性格的に、と付け加えると敦さんも同感だと笑う。丁度よくタピオカを飲み終えて一息着いていれば、彼が立ち上がった。


「そろそろ行くぞ。……アンタは目立つから後ろの方で観戦だ」


「やっぱり馴染めてない?」


ゴミを袋にひとまとめにし、ベンチの隣に設置してあったゴミ箱に捨てる。風になびき母親譲りのハニーブロンドが視界の端で輝いた。

敦さんも目立つような背格好だけどな、と私を待つその姿を見て思う。


「俺が言ってんのは容姿とかじゃねぇよ。そりゃ、それだけでも目立つけどよ。それよりも佑真と一緒にいる女ってだけで注目されてんだよ」


「……そう、なんだ」


「ああ。だから気をつけろ。その分弱点として狙われる可能性があるからな」
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