青い星を君に捧げる【零】
佑真の弱点、それは白虎総長の弱みであり、通じては白虎全体に関わることである。副総長として、今敦さんはまさに私を見定めているのかもしれない。


私が弱みである以上にそばに居る価値がある人間なのか。総長が女に溺れて盲目的になっていないか。

「自分の身は自分で守れる自信があるんだ。そう見えないかもだけど」


「へえ、そりゃ驚きだ」

信じてねぇよ、とでも言うように彼はスマホを片手に歩き出した。身を守れることは本当なんだけどな、なんて思いながら敦さんの後ろを大人しくついて行った。

𓂃◌𓈒𓐍

佑真が野外のステージ上に現れた時、それはそれは大盛況だった。特に女の子たちからの黄色い声援が。

隣にいた敦さんが事前に耳を塞いでいたのはそういうことだったのか。合点がいった。


本当、凄いなぁ。

仮にも西を治め、最強と謳われる暴走族・白虎の総長さまがここまで目立ってもいいものだろうか。


ステージと私のこの距離が、どうしようもなく遠く感じた。ついさっきまで手が届く場所にいたのに。別世界の人みたいに思ってしまう。


閉じこもって、怖がり、人と関わることを辞めた私。それとそんな私が作った壁を軽々と飛び越え足を踏み入れた彼。
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