青い星を君に捧げる【零】
____数日後

外で会食があった日、庭に置いていった男の子はあの後護衛達の中にはいなかった。願ったり叶ったりで清々した。


匡と関わりのある人だから、と心配していたけれど男の子から何も無かったようで、そこは一安心だ。


今日はいつもよりも月が綺麗で、それに釣られた私は屋敷を密かに出て真夜中に散歩をしていた。

時刻は25時を過ぎていて薄着で出てきてしまったから寒い。せっかく抜け出してきたけどそろそろ帰ろうと近道するために裏路地に入る。


「____」


「______」

その時男の人の声が聞こえた。二人いるようだ。面倒ごとに巻き込まれるのも嫌で、足音を立てずに過ぎ去ろうとした。


しかし聞き覚えのある名前が出てきて思わず足を止める。


「本郷家での機密情報はまだ見つからないのか」


「そんな簡単に見つかったら今までそんなに苦労しないって。相手はあの本郷家だ」


“本郷家”というワード。私は恐る恐る声のする細い路地を覗いた。


暗がりの中、目を細めてみればそこにいたのは白い特攻服を纏った人と、キャップを被った人。


奥にいるキャップの人は顔も見えず誰かはわからない。手前にいる白い特攻服の人の背中には何か書いてあった。
< 7 / 87 >

この作品をシェア

pagetop