恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
歩と一緒にハンバーグを作ると、一メートル四方の折りたたみ式のテーブルに食事を並べ、歩と向かい合って座り、いただきますをして食べ始めた。
「今日は保育園でなにしたの?」
 いつものように学校での様子を聞いたら、弟は箸を止めて答える。
「フォトフレーム作った。うまくできたよ」
「へえ、フォトフレームなんてお洒落。他にはなにをしたの?」
「縄跳びした。二重とび三回できるようになったよ」
淡々とした声で報告する歩を褒めた。
「すごいね、歩。お姉ちゃん、もう二重跳びできないかも」
 フフッと笑ったら、歩も私の目を見てクスッと笑った。
「美鈴は運動苦手だもんね」
 そんな話をして食事が終わると、入浴を済ませ、本を読んで歩を寝かしつける。
「おやすみ、歩」
「おやすみ、美鈴」
 うちは狭いからベッドは置けず、いつも布団を敷いて寝ている。
 天使のようなあどけないその寝顔。
 起きている時は賢くて大人のような振る舞いをするけれど、寝顔はやっぱり子供だ。
< 10 / 256 >

この作品をシェア

pagetop