恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「自分の結婚で反省って?」
 首を傾げる私に彼は両親のことを話して聞かせる。
「両親は政略結婚だったが、俺がアメリカ留学中に母は若い男を追いかけて家を出て行って、それで離婚した」
「……そうなんだ」
 彼にかける言葉が見つからず、それしか言えなかった。
 完璧そうな家に見えてもいろいろあるんだな。
 彼もショックを受けたはず。
「だから、安心してここに住めばいい。もう歩くん用に図鑑やパソコンも買ったし」
 悪戯っぽく目を光らせる彼の発言を聞いてギョッとした。
「ええー。そんなのダメだよ。キャンセルしてよ。もったいない」
「無理だね。今日届くから。それに俺の金だし好きに使う。高いワイン飲むのに比べたら全然安いよ」
 多分、普段彼が飲んでいるのは一本百万とかするワインなのだろう。
 だからって彼に歩のものを買ってもらうわけにはいかない。
「そういう問題じゃなくて」
 なんとか断ろうとするが、彼は私を懐柔しようと歩のことを褒めた。
「問題なんてなにもない。俺にも歩くんの面倒を見させてほしい。あの子、とってもいい子だな」
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