恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
一条くん、ズルい。
 弟のことを褒められると強く断れないじゃないの。
 彼に甘えるべきか躊躇っていたら、ギュルルッと私のお腹が盛大に鳴った。
「あっ⁉」
 気まずくて俯きながらお腹を押さえたら、一条くんがクスッと笑った。
「お腹空いたみたいだな。ちょっと待ってて」
 彼は上体を起こしてベッドを降り、寝室を出ていく。
 彼の姿が見えなくなると、両手で顔を覆って小さく叫んだ。
「キスされるし、お腹は鳴るし、ああーもうなんなの!」
 頭の中がごちゃごちゃ。キチンと整理する前にいろいろ起こる。レンタル彼女受けてからその繰り返し。
「心臓バクバクするし、私心臓発作になりそう〜」
 ひとりで騒いでいたらいつの間にか一条くんが戻ってきた。
「それは大変だな。病院で診てもらおうか?」
 彼が私の胸に手を当ててきて、ゴクッと息を飲む。
「ホントだ。鼓動が速い。なんの病気だろうね」
 真剣な顔でコメントする彼に狼狽えながら文句を言った。
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