恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
9、彼のそばにいたい
「うーん、終わった」
今日は定時きっかりに仕事が終わり、手を上げて軽くストレッチをする。
次の週の月曜日、温泉旅行で気晴らししたせいもあって仕事がサクサク進んだ。
そんな私を横目に見て咲が不思議そうな顔をする。
「今日は歩くんのお迎えいいんでしょう?」
「うん。家で見ててくれる人がいるから。でも、今日は叔父さんのお店にちょっと行きたくて。週末旅行に行ってたから、猫ちゃんたちが元気か顔だけでも見ておきたいの」
 いつも土日は叔父さんの猫カフェを手伝っていたから、叔父さんも疲れてないか気になるし。
「週末、北陸行って来たんですよね?歩くんとふたり旅ですか?」
 木村くんに温泉旅行のことを聞かれ、ギクッとする。
 咲には絢斗と一緒に行ったことは伝えてあるが、流石に彼には話していない。彼は同居のことも知らないし、言ったらきっと驚くだろう。
 なんせ相手はうちの会社の副社長だ。
「ううん。ち、ちょっと知り合いと」
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