恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 電車に乗ってねこカフェがある吉祥寺に向かうが、吉祥寺駅に着くまで考えるのは絢斗のこと。
 温泉宿では彼ととんでもないことをしてしまった。
 それもこれも私がお風呂で寝てしまったせいだ。
 もし歩がお風呂場に現れなかったらどうなっていたのだろう。
 最後までされただろうか?
 いや、それはない。私は我を忘れてしまったけれど、絢斗はそうじゃなかった。
 それに、私を抱く気ならとっくに抱かれているだろう。
 だって、絢斗と同居してからずっと彼と同じベッドに寝ている。
 それなのに抱かれないのは、彼が私のような男性経験のないお子様に欲情しないからだと思う。
 温泉宿で彼が私に触れてきたのはきっと魔が差したからに違いない。
 じゃあキスは?
 あ、あれはもう絢斗にとっては挨拶だ。
 彼はアメリカ留学経験があるし、私が社長の前でうまく恋人役ができるようにしてるだけ。
 私たち姉弟を同居させてくれてるのだって同情というか、そうノブレスオブリージュってやつよ、きっと。
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