恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました

「ああ～、言わないで。昨日のことは忘れて〜！」
「忘れない。美鈴が俺を救ってくれたのに忘れるわけがないだろ？」
　美鈴の両手を掴んで顔から剥がして、彼女の目を見つめた。
「絢斗……」
　大きく目を見開き、彼女も俺を見つめる。
「俺も生半可な気持ちで美鈴を抱いたわけじゃないから」
　そう言葉を切って、彼女の顔を両手で挟んで言葉を紡いだ。
「美鈴が好きだよ」
　告白なんて初めてだった。
　人を好きになるのも初めてだけど。
「本当に？」
　少し不安そうな顔をする彼女を安心させるように言った。
「信じられないなら毎日言おうか？」
「絢斗ならどんな女性だって選べるのに」
　選べる……か。それは俺に地位や金があるからそう思うのだろう。
　だが、美鈴の方が人間としてすごいじゃないか。
　貧しい家庭に生まれ、父親を知らず育ってきたのに、俺が今まで出会った誰よりも真っ直ぐに生きて、ひとりで小さな弟を育てている。
「もっと自信を持ったら？　美鈴はとっても魅力的だよ。心も綺麗だしね」