恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「副社長、芹沢さんのことすごく優しい目で見てましたよ。転びそうになった時もいち早く動いたし、いちゃつかなくてもわかりますって。それに、俺も牽制されたというか……。芹沢さんの背中とか叩いた時、副社長から殺気を感じました」
「あっ……そうなのね」
「応援しますよ。芹沢さんには幸せになってほしいし。で、社長夫人になったら、俺を重用してくださいね」
社長夫人って……。
「き、木村くん! なにを言ってるの!」
 声を潜めて注意すると、彼がハハッと笑った。
「僕も鼻が高いです。手塩にかけて育てた芹沢さんが未来の社長夫人になるんですから」
「木村くんに育てられていないし、あ~、もうからかわないで!」
 木村くんの背中をバシバシ叩いていたら咲がやってきた。
「おはよう。ふたりで朝からなにを騒いでるの?」
「エレベーターの中で副社長と芹沢さんの親密なやり取りが面白くて」
 声を潜めて咲に報告する木村くんをギロッと睨みつける。

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