恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「木村くん、それ以上言うともう美味しいおやつあげないよ」
「ホント、僕って歩くんと同列扱いですよね」
 少し拗ねた顔をする木村くんの頭を咲がよしよしと撫でた。
「ラブラブな副社長と美鈴を目の当たりにして木村くんは見事に撃沈したわけね」
 ふたりにいじられ顔が火照った。
「ふたりして小芝居やらないでよ」
 そんなことを言い合いながらオフィスに入って自席に着くが、パソコンを立ち上げてメールの処理をしていたら隣の席の咲からチャットが来て驚く。
 なんでわざわざチャット?と思いつつメッセージを見て凍りついた。
【美鈴、首筋にキスマークついてるらしいわよ。お昼にじっくり話を聞かせなさいよ】
 らしいって……なに?
 ひょっとして、木村くんがキスマークに気づいて咲に知らせた?
 恐る恐る前の席にいる木村くんを見やるが、彼はパソコン画面を見つめてキーボードを叩いている。
 だが、それが逆に怪しい。
 男性が女性にキスマークついてるなんて言えるわけないよね?
【それって木村くんから?】
< 182 / 256 >

この作品をシェア

pagetop