恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました

打ち合わせもあって慌ただしかったが、お昼になると、咲に「さあ、いろいろ聞かせてもらいましょうか」と問答無用で近くにある高級イタリアンの店に連行された。
　店内は白で統一されていて、席の間隔が広く、窓も大きくて開放感がある。
「ねえ、こんな高級なところ、困るんだけど」
　普段あまり利用しない店に連れて来られて困惑する私を安心させるように彼女は微笑む。
「いいから。私が奢るわ。ここのオーナーとは知り合いだし、心配しないで」
　さすがお嬢様。付き合いが広い。
　窓際の席に案内されたが、ここはランチでも一万近くするので、周りにいるお客さんはマダムや会社の役員など年齢層が高め。
　普通のＯＬはまず来れないだろう。
　だから咲はこの店を選んだのかもしれない。
「時間もあまりないから単品で頼む？」
　彼女の提案に同意してメニューを見る。
「そうだね。私はパスタだけでいいかな。海の幸パスタにしようかな……って、値段結構するね」
「値段は気にしない。私もそれにするわ」