恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました

「その一条くんは美鈴のことどう思ってるの？」
　彼女は私のことを心配してか、絢斗の気持ちを確認してきた。
「今朝、好きだって言ってくれた」
　自分で言っていてもまだ信じられない。
　まだ夢でも見ているかのようだ。
「副社長らしいわね。よかったじゃない。両思いになって」
　咲が自分のことのように喜んでくれるが、不安がある。
「うん。でも、彼は副社長だよ。いずれうちの会社の社長になる人で、私には分不相応だから、ずっと一緒にはいられないんじゃないかって……」
「あのね。貴族とかじゃないんだから、くだらないことで悩まないの。副社長が美鈴を選んだんだから自信を持ちなさい」
　私を励ます親友の言葉に胸がジーンとなる。
「咲……」
「彼ならきっと美鈴を大事にしてくれる。それに歩くんもね」
　確かに私も歩も絢斗に大事にされている。
「うん。ありがと」
　ニコッと笑う咲に微笑み返すと、パスタが運ばれてきた。
「すごい。手長海老にムール貝、いくらにうに、それにキャビア」