恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました

昨日の今日だからきっとふたりは杉本くんの話をしていたに違いない。
ふたりがなんだかお似合いに見えてしまったから、相手が杉本くんの恋人だと知ってホッとした。
「美鈴、気をつけなさい。彼女、あまりいい噂を聞かないのよね。杉本くんと付き合ってた時も、複数人の男と遊んでたらしいし。今、広告代理店で仕事をしてるらしいけど、枕営業してるって専らの噂よ。それに、彼女高校時代ずっと副社長を狙ってたの。副社長が相手にしなかったから、杉本くんを落として付き合ったんでしょうけど」
「そんな人だったんだ。全然知らなかった」
　咲の話に少なからずショックを受けた。
　絢斗は峯岸さんの噂を知っているのだろうか。
　でも、あえて私が彼に伝えるべきことではないような気がした。
　私は実際の彼女を知らない。
　それに、私を好きだと言ってくれた絢斗を信じるべきだと思う。
　ランチを終えて会社に戻るが、仕事をしていても峯岸さんのことが頭から離れなかった。