恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 絢斗が歩に目を向けると、弟は嬉しそうに「うん」と頷いた。
「ちょうど歩とハンバーグ作ってたの。一緒に食べる?」
 絢斗に確認すると、彼はお腹に手を当てて返事をした。
「もちろん。もう餓死しそうなくらい腹減ってる」
 絢斗がスーツから部屋着に着替えている間に歩と夕食の準備をする。
 テーブルのセッティングが終わると、絢斗がキッチンに現れた。
「なにか手伝うことある?」
「大丈夫。優秀な助手がいるから」
 絢斗に笑顔で返しながら歩の肩に手を置く。
「確かに」
 納得した様子で絢斗が自分の席に着き、私と歩が食事を用意する様子を眺めて頬を緩めた。
「こういうの、なんだかホッとする。今までただ寝るだけの家だったから」
「寝るだけなんてもったいないよ」
 真剣な顔で歩が言うと、絢斗は弟と私を見つめてとても幸せそうに言った。
「ひとりで住んでたから、なんの楽しみもなくてね。歩と美鈴が来てくれて本当によかった」
「僕も絢斗と一緒にいられて嬉しいよ」
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