恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 スーッと目を細めて私を見据える彼が怖い。
「そ、それは……」
 言葉に詰まる私の肩に手を起き、絢斗は甘い目で微笑んだ。
「大丈夫。俺が美鈴を選んだんだ。自信を持つように」
「絢斗……」
 彼と見つめ合っていたら、叔父が顔をニヤニヤさせながら注意してきた。
「ふたりとも仲がいいのはいいが、人前でいちゃつくのはほどほどにな」
 叔父の言葉に顔がボッと火がついたように熱くなる。
「……叔父さん」
 そうだった。叔父さんや歩、それにお客さんもいたんだった。
 私がひとり赤くなっていると、絢斗が立ち上がり、背筋を正して叔父に向き合った。
「あなたにはお礼を言いたくて……、美鈴をキャストに選んでくださってありがとうございました」
「同じ会社にいるんだ。遅かれ早かれ出会っていたと思うが、まあ俺のお節介だ。美鈴が一条さんに会いたくて今の会社に入ったって言ってたからな」
 横目でチラリと私を見てそんな暴露話をする叔父に顔を青くしながら文句を言った。

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