恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました

　恐縮しながらお礼を言うと、歩も「おじいちゃん、ありがとう」と秀さんにペコリと頭を下げる。そんな私たち姉弟を見て秀さんは温かい目で微笑んだ。
「美鈴ちゃんや歩くんの笑顔を見られるだけで嬉しいよ」
「プレゼント開けてみてもいいですか？」
　私が秀さんに聞くと、彼は笑顔で返事をした。
「もちろん」
「なんだろうね」
　歩と目を合わせ、秀さんのプレゼントを開ける。
　中に入っていたのは、ブランドのロゴが小さく入ったカシミアのマフラーだった。
「とっても素敵です。ありがとうございます、秀さん」
　もう一度心からお礼を言うと、秀さんは頬を緩めて私を歩を見つめた。
「いいえ、どういたしまして。今日はこれからなにか予定があるのかい？」
「はい、彼と歩の三人で食事に」
　絢斗に目を向けたら、彼が秀さんに軽く会釈した。
「どうも」
「どうも。なるほど。そういうことか」
　秀さんも絢斗に挨拶するが、なにやらぶつぶつ呟いている。
「秀さん、どうかされました？」