恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
背は百六十センチ、髪は元々色素が薄いのかモカブラウン色で腰まであり、仕事中はシュシュでひとつにまとめている。顔は目がぱっちり二重で亡くなった母に瓜ふたつだとよく身内に言われる。そのせいか自分の顔はあまり好きではない。だから視力はいいけれど、普段は黒縁の伊達眼鏡をかけている。
 そんな私は日本最大の石油会社『アイシージェー』の本社原油外航部に勤務しているOL。
アイシージェーは国内に製油所が十一、支店や関連会社が十五、研究がひとつ、海外に六つの拠点があり、年間売上高は三兆三千億円を超え、関連会社を含めた総従業員数は一万二千人という大企業。去年イギリスの大手石油会社を買収し、世界でもトップ3に入る石油会社になった。
私が勤務しているこの大手町にある四十階建ての本社ビルには、約千人もの社員が働いている。
「今日は大丈夫。もうこのメール打って終わるから」
 木村くんの顔を見てニコッと微笑み、メールの続きを打って送信ボタンをクリックした。

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