恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました

　私と絢斗が一緒にいて相当驚いたんだろうな。おまけに歩もいたし。
　他人から見たらやっぱり私と絢斗って釣り合っていないよね。
　わかっていただけに、人の反応を見るとちょっと凹む。
　彼の隣にいてもおかしく思われないように頑張らなきゃ。
　エレベーターの中でひとりうんうん頷いて自分を鼓舞していたら、絢斗に声をかけられた。
「美鈴、降りるよ」
「あっ、うん」
　エレベーターを降りて右手に行くと、フレンチレストランがあった。
　考えてみたら歩、フレンチ初デビューだ。
　テーブルマナー全然教えてないのだけど大丈夫だろうか。
　私の不安が伝わったのか、絢斗が私を見て微笑んだ。
「大丈夫。個室予約してるから自由に食べていいし、子供向けのメニュー頼んであるから」
　その言葉を聞いて安堵するが、お金のことが気になった。
　こんな高級フレンチの個室、しかもイブだよ。いったいいくらするのか。
　庶民の私は考えるだけでクラクラ目眩がしそうだ。