恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました

歩も四十センチはありそうなオーナーシェフのコック帽を見て驚いた顔をしている。
　それからしばらくすると、色とりどりの野菜を使ったアミューズ、前菜が運ばれてきて、私と絢斗が歩にレクチャーしながら食べ始める。
　甘みのあるかぼちゃのスープが出てくると歩は気に入ったようで、「美鈴、今度作ってみたい」と私に笑顔で言う。
「うん、一緒に作ろうね」
　歩の言葉に頷くと、絢斗が弟に穏やかな顔で言葉をかける。
「後でレシピ教えてくれるか聞いてみよう」
　スープの後はシャトーブリアンのステーキが出てきた。
　お肉が柔らかくて初めての歩にはナイフで切るのも楽で食べやすかったようだ。
「このお肉、すごく美味しい」
　嬉しそうに歩が肉を咀嚼すると、絢斗が笑顔で返した。
「よかった。歩が好きならまた来よう」
「うん」
　歩が彼を見て嬉しそうに返事をする。
　それからデザートが運ばれてきたが、サンタの飾りがついたブッシュドノエルのケーキを見て歩は目を輝かせた。