恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
可哀想?
 ううん、それは違う。
 絢斗は歩をとてもかわいがってくれていて、弟といる時の彼はとても嬉しそうな顔をする。
「可哀想なんかじゃありません! 勝手なこと言わないで!」
 ついカッとなって言い返したら、彼女がキッと私を睨みつけた。
「勝手なことですって! あなた何様のつもり!」
「俺の婚約者だけど」
 突然背後から絢斗の声が聞こえたかと思ったら、温かい手が私の肩に置かれた。
 振り返ると絢斗が後ろにいて、彼は峯岸さんをとても冷たい目で見据えている。
「絢斗……?」
 婚約者って……。それに、どうして彼がここにいるの?
 そう疑問に思ったが、カフェの入り口近くに木村くんと咲がいて状況がなんとなく読めた。
 多分、木村くんが私と峯岸さんのことを咲に知らせて、それで絢斗が呼ばれたのだろう。
 咲の隣には菊池さんもいる。
 なんだかギャラリーもいて大事になっているんですけど……。
「一条くん……婚約者って……」
 
< 222 / 256 >

この作品をシェア

pagetop